【昔話】バッグパッカー21歳女子一人旅。あの時出会った今でも会いたい人。

  更新:2015/01/08

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photo credit: donovanbeeson via photopin cc

FLAT 23の住人Ayaka(@LadyBBA2014)です。
昔話の続きです。

前回の記事はこちら
【昔話】21歳女子一人旅。バッグパッカーをやった話。

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A子ちゃんとの出会い

ロンドンを拠点にアイルランド、フランス、ドイツ、オランダを船と長距離バスで巡った旅がいよいよ終盤を迎えようとしていた。友達が教えてくれた旅行者にも部屋を貸しているというロンドンのとある一軒家のドアベルを私は鳴らした。出てきたのは品の良さそうな白髪の老女。どうやら彼女がここの大家らしい。

彼女は簡単にキッチンとバスルームの場所、旅行者用のドミトリー部屋を案内するとあっさり自分の部屋に戻って行った。ホームステイのような熱烈歓迎を期待してはいけないと思いながらも、ふと寂しい気持ちになった。

一人っきりのキッチンでミルクティーを淹れていると、久しぶりに外国語以外の言葉が聞こえてきた。

「こんにちは。」

それがA子ちゃんとの出会いだった。

エアメールが育んだ友情

A子ちゃんは27歳、キレイでお洒落で優しくて・・・21歳の私から見るとA子ちゃんは正しく「大人の女性」だった。
カナダ仕込の英語が本当にカッコ良くて、それを聞いてるだけでうっとりしてしまうくらい流暢だった。

A子ちゃんは日本からロンドンに着いたばかりで、これから帰国する私とはすれ違いだったのだが、私の帰国後も彼女はアイスランド、モナコ、フランスと色んな国から絵葉書を送ってくれた。私は毎回それを読むのが待ち遠しくて帰宅の度に郵便受けを確認するのが日課になっていた。

私たちの友情はエアメールで育まれていった。

A子ちゃんの帰国と再会

半年かけて旅したA子ちゃんが帰国。それからの連絡手段は手紙から電話に変わって行った。

相変わらずA子ちゃんは大人で、社会人になりたてだった私のどうでもいい悩み事などを親身になって聞いてくれた。

「アヤカちゃんも早く東京においでよ」

それが彼女の口癖だった。

そして出会いから1年後、私は東京の彼女の家に遊びに行くことになった。

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どうして?どうして?私には分からない

東京で再会したA子ちゃんはやっぱりキレイだった。東京の洗練された人というイメージ。
サービス精神旺盛な彼女は仕事で忙しいにも関わらず、私を色んなところに連れ出してくれた。

そして彼女の行きつけのバーに行ったときに彼女はこう告白した。

「今好きな人がいてね・・・」

A子ちゃんならどんな素敵な人が彼氏なんだろう・・・私はワクワクした。
しかし、彼女から次に出てきた言葉は私の期待とは大きく違っていた。

不倫だった。

男の妻子が不在の時に、妻と寝ているそのベッドで寝るというデリカシーの欠片もない生々しい話を聞かされた上に、陳腐なドラマの主人公と自分たちを重ね合わせてその恋愛を嬉しそうに語る彼女は私の知っている彼女ではなかった。

A子ちゃんは知的な女性だったけれど、恋愛面では全く計算がなかったんだと今では思える。だけど、まだ若かった私には聞いていて苦しくなるばかりだった。どうして・・・どうして・・・

「A子ちゃんはそんな男の人でなくてももっと良い人がいるよ。悪いけどそんな人と未来なんてない。」

思わず言ってしまった。

何もわざわざそんなオヤジと付き合う理由なんてないのに。
私の大切なA子ちゃんがぞんざいに扱われている気がしてその男が許せなかった。

お別れの印になってしまったハンカチ

その日を境にA子ちゃんと距離ができてしまったが、私の東京滞在の最終日に彼女はたくさんお土産をくれた。
その中の一つがとあるブランドのハンカチ、しかも私のイニシャルをわざわざ入れてくれたものだった。
こんな粋なプレゼントをしてくれたのは後にも先にも彼女だけだった。

その後、私たちは疎遠になってしまって、今は連絡先さえ分からない。

どうしてるかな、A子ちゃん。

ときどき頭をかすめる。

A子ちゃんが地球のどこかで幸せに暮らしてくれてるといいなと思う。

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